イーリー司教の苺屋敷

リチャードがイーリー司教を自陣営に抱き込むために訪問した屋敷で苺が栽培されていたというのは史実だった

Ely House

Ely House

1290年にエドワード1世に仕えたイーリー司教John De Kirkebyによって建てられ、その後この「Ely Palace(またはEly House)」"イーリー司教"の地位にある者のロンドンの住居となった


現在その場所に立っているSt Etheldreda's Churchは元々イーリー司教が私的な教会として使っていたもので、現存する唯一のイーリーハウス跡
このSt Etheldredaの庭はロンドンで最も素晴らしい苺を生産する場所として名高く、毎年6月にストロベリーフェアが開かれていたほど

 

薔薇王に登場するイーリーハウス

リチャードがイーリー司教を自陣営に抱き込むために訪問した屋敷
イーリー司教は逆にリチャードの色香に惑わされ…

薔薇王第46話
リチャード「…それにしても素晴らしい畑ですね」
イーリー司教「ああ 苺ですか 確か貴方は苺がお好きでしたな」
リチャード「よく御存知で…
イーリー司教「持ってきましょう…!」
(中略)
リチャード「苺の葉の下には蛇がいる ご用心を」


また、リチャードがヘイスティングスらに告発された時にイーリーに苺を持ってくるように命じたのはこの屋敷のもの

薔薇王第50話
リチャード「先日はふたりきりでとても濃密な時を過ごしましたね あなたの部屋で…
あの後お宅の庭の苺をくださるとお約束したでしょう
今 取り寄せてくれませんか?」
イーリー司教「い 今?」
リチャード「今」

 

シェイクスピアの原案の台詞はこちら
My lord of Ely, when I was last in Holborn
I saw good strawberries in your garden there
I do beseech you, send for some of them
イーリー司教、この前ホーボーンのお宅に伺った時 庭先に見事な苺がなっているのを見かけたが、できれば少し送り届けて頂けますか?

 

ジョン・モートンの名前が

中庭に苺畑はないのか?

Ely House

Ely House

チャペルのステンドグラス
左にリチャードに戴冠したトマス・バウチャー枢機卿、右にジョン・モートンの名前が

クリプト

Ely Place, Holborn

中世~近世イングランド王室とのつながり

ランカスター公ジョン・オブ・ゴーント(ヘンリー6世の曽祖父)はワット・タイラーの乱でサヴォイ宮を焼かれた後ここに40年住んでいた


王太子ブラック・プリンスやその息子リチャード2世もここに滞在した
戯曲『リチャード2世』第2幕第1場にEly Houseでの場面がある


ヘンリー8世(リッチモンドの次男)と彼の最初の妃キャサリン・オブ・アラゴンはイーリー司教Nicholas Westによって5日間にわたって催された宴に出席した

所在地

St Etheldreda's Church
14 Ely Place, London EC1N 6RY


参考ウェブサイト

www.stetheldreda.co.uk

en.wikipedia.org

Ely House

knowyourlondon.wordpress.com


地図

収録コミックス

 

*

ティレルやバッキンガムの息子が埋葬されたAustin Friars

Austin Friars

タワーヒルで処刑されたティレルやバッキンガムの息子エドワード・スタフォード、バーネットの戦いで落命した高位の騎士たち、タイバーンで処刑されたパーキン・ウォーベック(2王子の弟ヨーク公リチャード?)らが埋葬された場所
元々は1260年代に創設されたアウグスティノ派の修道院で、ヘンリー8世の重臣トマス・クロムウェルは隣接する土地に屋敷を構えていた(現在のDraper's Hall、ドラマ"Wolf Hall"の舞台)
ヘンリー8世による修道院解散後は紆余曲折を経て彼の息子エドワード6世の時代にドイツ・オランダ人のコミュニティに教会として使うことを許可した 以降"オランダ教会"として現代に至る
元の建物はロンドン大空襲で破壊されてしまったため1950年代に再建された

 

この教会は現在一般公開されていないようだったが、インターフォンからお願いして内部を見学させて頂いた
ティレルやバッキンガムの息子の墓は無いが(第二次大戦時に教会は完璧に破壊された)、遺骨や灰は地下のクリプトに収められているとのこと 普段は施錠しているクリプトもご厚意で見せて頂いた(感謝!)案内して頂いた方としばしリチャード3世談義も

Austin Friars

地下のクリプト

地下のクリプト

地下のクリプト:ティレルやバッキンガムの息子を含め、古い遺灰はこの中に収められている

エドワード6世の勅許により"Dutch Church"となった

エドワード6世の勅許状

Austin Friars

Austin Friars

トマス・クロムウェルの屋敷跡 Draper's Hall

Draper's Hall


所在地

Dutch Church
7 Austin Friars, London EC2N 2HA

参考ウェブサイト

en.wikipedia.org

dutchchurch.org.uk

地図

"2王子の弟"が処刑されたタイバーン刑場跡

古くから処刑場として知られる悪名高きタイバーン
ニューゲート監獄から現在は繁華街となっているオックスフォードストリート経由でここに移送されることが多かった
イザベラ王妃と共にエドワード2世を死に追いやった彼女の愛人ロジャー・モーティマーはタイバーンで絞首刑にされた最初の貴族

Site of the Tyburn Tree

Site of the Tyburn Tree

ニューゲート監獄跡

ニューゲート監獄跡

 

薔薇王登場人物周辺の処刑

グロスター公妃エレノア・コバム事件に絡み占星術師Roger Bolingbrokeは1441年11月18日にここで絞首・腹裂き・四つ裂きの刑に処された
ヨーク公リチャード(2王子の弟)としてリッチモンドに対する反乱を起こしたパーキン・ウォーベック、1499年に絞首刑(ドラマ『ホワイト・プリンセス』に登場)

 

所在地

Site of the Tyburn Tree
Tyburnia, London W1H 7EL (マーブルアーチ近く)

参考ウェブサイト

ja.wikipedia.org

www.english-heritage.org.uk

en.wikipedia.org

ja.wikipedia.org

地図

ジェーンが公開悔悟の後に投獄されていた場所

St Paul's Crossで公開悔悟の刑(公衆の面前で下着姿で歩かされた)に処されたジェーンは、その後ラドゲイト監獄に収監された
リチャードの法務次官トマス・ライノムはここで獄中の彼女を見初め結婚することに
リチャードの王太子エドワードが亡くなったことにしてジェーンに託して宮廷を去らせる時に付き添っていた男性がこのトマス・ライノムと思われる
現在監獄は残っていないが建物の壁に銘板がある

Ludgate Prison

Ludgate Prison

公開悔悟を行ったSt Paulからラドゲイト監獄があった場所はすぐ近く

 

所在地

Ludgate Prison
St Martin Ludgate(40 Ludgate Hill, London EC4M 7DE


参考ウェブサイト

en.wikipedia.org

地図

ティレルやジョージの息子、バッキンガムの息子が処刑されたタワー・ヒル

タワー・ヒルはロンドン塔の北西部にある小高い丘で、古くから公開処刑場として知られており、ここで処刑された人たちの名を刻んだ碑がある

Tower Hill


薔薇王登場人物とその家族の処刑

ジェームズ・ティレル
第17代ウォリック伯エドワード・プランタジネット(ジョージの息子)
第3代バッキンガム公エドワード・スタフォード(薔薇王バッキンガムの長男)
ウィリアム・ティレル(ティレルの父)
ウィリアム・スタンリー(薔薇王スタンリーの弟)

 

Tower Hill

Tower Hill
所在地

Tower Hill Execution Memorial
Trinity Square Gardens, Trinity Square, Tower Hill, Tower Hamlets, London EC3
Tower Hill駅を出て右手

参考ウェブサイト

ja.wikipedia.org

www.hrp.org.uk

地図

 

リチャードが母や兄と共に捕らえられたラドフォードブリッジの戦い

ラドフォードブリッジの戦い(敗走)
The Rout of Ludford Bridge/Battle of Ludford Bridge

Ludford Bridge

1459年10月12日
ブロア・ヒースの戦いに勝利した後ロンドンに向かおうとしていたヨーク軍はランカスター軍に遭遇しウスターに後退、更にヨーク公の拠点ラドローに戻った
(正気に戻っていた)ヘンリー6世を擁する初代バッキンガム公率いるランカスター軍とヨーク軍はラドローにあるラドフォードブリッジで睨みあっていたが カレー方面軍司令官Andrew Trollopeと600人の兵士たちがランカスター側に寝返ったため、ヨーク軍は敗走を余儀なくされ、ヨーク公は次男のラトランド伯エドマンド(薔薇王には登場せず)を連れてダブリンへ敗走、長男エドワードとウォリック伯・ソールズベリー伯親子は南ウェールズ経由でカレーへ逃れた

エドワード「…私は今ウォリック伯のご一族と共にいる」(薔薇王第2話)

 

13日の朝、指揮官を失ったヨーク軍はヘンリー6世に服従し、ランカスター軍はヨークの拠点であるラドローで略奪の限りを尽くした

ヘンリー「…なんということだ…兵達をひきあげさせなさい 戦いは終わったのだ」
マーガレット王妃「戦をしたのです 陛下
兵達に充分報賞を与えなくては」(薔薇王第2話)


ラドローにいたヨーク公夫人セシリーはランカスター軍に捕らえられ、14日には子供たち(リチャードとジョージ、彼らの姉マーガレット)と共に、Maxstoke Castleで姉のアン・ネヴィル(初代バッキンガム公夫人、薔薇王バッキンガムの祖母)の保護下に置かれた

薔薇王第2話(コミックス1巻)でリチャードが母セシリーと兄ジョージと共にランカスター側に捕らえらていたのはこの時のことと思われる

所在地

Ludford Bridge, Ludlow, Shropshire, England SY8 1PJ

参考ウェブサイト

en.wikipedia.org

ja.wikipedia.org

richardiii.net

地図

収録コミックス

第2話(コミックス1巻)

 

キングメイカーの権勢がしのばれるウォリック城

歴史、薔薇王キャラとの関わり

1068年にウィリアム征服王によって建築され、1088年以降代々のウォリック伯の領地となった

 

薔薇王ウォリック(第16代ウォリック伯リチャード・ネヴィル)の居城で、彼の娘たちアンとイザベルもここで生まれた
この城の威容を見ると彼がいかに裕福な実力者だったかかがしのばれる


ウォリックがバーネットの戦いで討ち取られた後、彼の莫大な所領の帰趨が問題となった
娘婿クラレンス公ジョージ・プランタジネットが相続したが彼が1478年に処刑された後は当時2歳の息子エドワード(第17代ウォリック伯)に引き継がれたが、まだ幼かったため王室の管理下に置かれていた
リチャードは1480年代初頭にベア・タワーとクラレンス・タワーの建設を始めたが未完成のまま亡くなった。

 

1469年にウォリックとジョージが反乱を起こした際に、捕らえられたエドワード4世は当初ウォリック城に監禁され、その後ミドラム城に移送された

Warwick Castle

Warwick Castle
キングメイカー ウォリック

Warwick Castle

ウォリックについては特別に別棟に展示館が設けられている

バーネットの戦いに赴くウォリックの蝋人形

バーネットの戦いに赴くウォリックの蝋人形

ウォリックの紋章

薔薇王に描かれているようなウォリックの紋章を付けた兵士たち

Warwick Castle

ウォリックの家系図

中央右がウォリック夫妻

(左から)エドワード王子、アン、ジョージ、イザベル
展示

蝋人形館"マダムタッソー"でお馴染みのタッソー・グループが保有していた時期もあったためか、城内には多くの蝋人形が展示されている

テーマパーク的に各所に台詞やナレーションが流れる凝った展示


甲冑や剣等、中世の武具が大量に展示されている
天蓋付きベッドなど豪華な家具も残っている

18世紀のグレヴィル家の時代に完成したグレート・ホール

Warwick Castle

Warwick Castle

Warwick Castle

プランタジネットの紋章

ネヴィル家の紋章

ド・ビーチャムの紋章

 

蝋人形

Warwick Castle

Warwick Castle

Warwick Castle

Warwick Castle

Warwick Castle

Warwick Castle

城内のチャペル
眺めのいいポイント

本館の向かいにある塔に登れるようになっており、見晴らしの良い眺めが楽しめる

Warwick Castle
テューダー朝との関わり

第2期初代ウォリック伯(後の初代ノーサンバランド公)ジョン・ダドリーは、サマセット公エドワード・シーモア(エドワード6世の伯父)を反逆罪で処刑、息子ギルバートをジェーン・グレイと結婚させる "9日間の女王"として知られる悲劇のプリンセス
もう一人の息子ロバート・ダドリーはのちにエリザベス一世の寵臣(愛人)となる

 

ヘンリー8世と6人の妻の蝋人形や、ヘンリー8世の肖像画

ヘンリー8世と6人の妻の蝋人形

Warwick Castle

ヘンリー8世の肖像画

ダドリー家の紋章

ショップ

紋章グッズ多数…ポストカード(1枚2.50ポンド)、しおり、キーホルダー等
普通のポストカードは1枚1.00ポンド
リチャードのオーナメント14.00ポンド
Mead(蜂蜜酒)の試飲を勧めてくれた
マーマレードやジャム
子供用のコスプレ武具 

リチャードのオーナメント

Warwick Castle
イベント

猛禽類のショー「The Falconer's Quest」、馬上槍試合や大型投石器を始めとする薔薇戦争イベント、歴史トークショー、花火、カッスルダンジョン等、さまざまな催しが用意されている


この日は毎日開催されているという「The Falconer's Quest」を観た
こちらではイギリスで一番多くの猛禽類を買っているそうだ
ハゲワシ、メンフクロウ、ファルコン、ペレグリンホーク…
低空飛行するようにしつけられているのか、観客の頭上スレスレに飛んでくるのがスリリング
最後はたくさんの鳥が一斉に空を舞って盛り上がった

The Falconer's Quest

The Falconer's Quest

The Falconer's Quest

最後はたくさんの鳥が一斉に空を舞って盛り上がった

外から城が見えるview point

*Public Viewpoint Warwick Castle
12 Banbury Rd, Warwick CV34 6PB
エイヴォン川越しの姿が美しい

*view from 43 Mill St, Warwick CV34 4HB 

所在地

Warwick Castle
Warwick, Warwickshire, England CV34 6AH

参考ウェブサイト

当日券はかなり高価
事前予約購入で割引に

www.warwick-castle.com

en.wikipedia.org

ja.wikipedia.org

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収録コミックス

エドワードがウォリックに監禁される場面